伊勢神宮の秘密(心の御柱)

忌柱、天の御柱ともいう。正殿の床の下に人知れずにょきっと建っている木柱。
心の御柱には五色の布がまかれ、榊で覆われている。
どれほど大事な柱かというと、20年に一度の遷宮に際して、まず心の御柱用の木材の伐採からすべて始まる。
また、旧正殿の心の御柱のあとには小さな宮が建てられ守られていく。
しかも、心の御柱は一般の神職では祀ることができず、大物忌(おおもののいみ)という特別の童女しか近寄れない。

心の御柱に五色の布が巻かれているのは、陰陽五行の思想からきているとされ、御柱そのものは、宇宙の中心を意味する「太一」(たいいつ)のことだろうと考えられてる。
また、もっと原始的な「リンガ(男根)」が元来の形で、だからこそ童女が奉仕し「聖婚」するのだ、とも言われている。

重要なことは、この大物忌の行動の中で「神(心の御柱)に食事を供し、自らも食す」という仕草。心の御柱の周辺にはおびただしい数の平瓮(ひらか:古代に作られた平らな皿→八十平瓮)が積み上げられているのだという。

これは、神武天皇と同じ行動。神武は東征の折、天香山の土で焼いた八十平瓮で神を祀り、神に食事を供し、自らも食すと、負けない体になったことを確信したのである。