多神教と一神教

多神教が一神教と出会うと、ほとんど例外なく一神教に飲み込まれてしまうものだから、一神教世界からみれば、多神教は野蛮で愚かに見えた。
それはなぜかといえば、一神教が「唯一絶対神」をいただく宗教観だから、自らの公営を「神の正義」「唯一絶対の正義」と正当化し、平然と他民族を虐殺し、支配し、奴隷にすることができるからである。
この点、単純明快な正義を持ち合わせていない多神教世界は、実に脆弱だ。
徳川幕府が砲艦外交に屈し、明治政府が一神教化し、過去の日本の多神教の世界を葬り去ったのも同じ理由からだ。
しかし、一神教の独善が、今日の世界の混迷を招いたことは間違いなく、地球規模の環境破壊も、一神教的発想の仕業であり、次第に一神教的発想の限界がみえはじめていることは改めて述べるまでもない。